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中国の「海上識別圏」にフィリピン・ベトナム反発

記事の概要

中国が東シナ海の防空識別圏に続き、南シナ海における海上識別圏まで宣言した。

中国最南端の海南省人民代表大会が昨年11月、中国の漁業管轄権保護を目的に、中国が主張する南シナ海の領海に外国船舶が進入する場合、中国当局の許可を受けることとする内容の条例を制定し施行中である。ボイス・オブ・アメリカ放送が9日伝えた。

この報道を受けて台湾外交部が中国の一方的な規定を受け入れないと報道官声明を発表して反発した他、フィリピンとベトナムも中国の措置への強行対応を予告した。

元の記事を読む→ 【2014年01月10日:中央日報

中国さん、欲張りすぎですw

元記事は韓国の中央日報です。朴大統領が中国にクネクネと擦り寄り韓国メディアも親中反日姿勢だったのですが、東シナ海の防空識別圏設定で風向きが変わりつつあります。中国に擦り寄ったところで隷属国扱いしかしてもらえないということを、韓国はなぜ自国の歴史から学ぶことができないのでしょうか。苦笑

さて、今回の海上識別圏を宣言したのは海南省という地方政府です。フィリピンやベトナムと領有権を争う西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島を管轄する三沙市を中国が一方的に設置しましたが、この三沙市が属するのが海南省です。で、今回指定された海域というのが下の地図に示すもの、いわゆる「九段線」です。

南シナ海における海上識別圏

うーん。僕は嫌中でも反中でもなく是々非々主義者ですが、これはさすがに中国の言い分に無理がありますよね。

位置関係から言って、ベトナムと西沙を争うのはある意味、自然です。中沙までもまだ分からんでもありません。しかし南沙は行き過ぎでしょ。さらにマレーシアの沿海まで中国の領海だって、そらさすがに厚かましすぎるでしょ。福岡県が「淡路島は俺のものだ!」って言ってるようなものです。笑

それは中国も分かっている

しかし中国もバカではありません。むしろ、お笑い芸人でも国会議員になれる極東の島国と違って、数十年に及ぶ地方修行で実績上げないと国政の要人になれない国ですので、トップクラスはスーパー優秀です。ここまで領海って無理あるよね~、って中国自身が一番良く分かっていることです。

それでもなぜ領海だと主張しなければならないのか? それは決して海底資源のためでもなければ、自国の民間船の安全航行確保のためでもありません。中国が考えていることはただ一つ、アメリカに攻撃されたくない。ただひとえにこの思いです。

列島線は防衛ライン

下の地図の赤いラインはみなさまご存知の第一列島線と第二列島線です。左が第一、右が第二。ここまで勢力圏にしたいというラインです。

中国の国防ライン

列島線が勢力圏と言われるので、中国がここまで進出しようとしている的に言われますが事実は逆で、ここまでで何とか食い止めたいというのが列島線です。何を食い止めるかというとアメリカをです。

中国は1840年のイギリスに始まり、フランス、ドイツ、ポルトガル、日本、アメリカなどなどに半植民地化されました。これは中国にとってはかなりショッキングなことでした。

それ以来中国は常に外敵を意識し、攻め込まれることを現実の脅威として感じてきました。だから北京を捨てて内陸に首都を移そう考えたり、沿海が占領された時に備えて山奥に工業地帯を作ったり、要はアメリカに侵略されたとき対策を毛沢東の頃からしてきたわけです。

本気でアメリカを恐れている中国

日本から見ると中国って高圧的かつ好戦的に振る舞ってるように見えますが実は逆で、昔のようにまた植民地みたいにされていじめられないか、アメリカに殴られないか、怖くて怖くて本気で怯えている。弱い犬ほどよく吠えるに近い状態なんです。

ですので、列島線というのは勢力を進展させるエリアというより、第二次大戦時の日本の絶対国防圏のようなものと考えたほうが良いでしょう。なんとかここでアメリカを抑えたい。ここから中までは入ってきてほしくない。お願い、いじめないで。涙

習近平が訪米した時にオバマに太平洋を米中で二分しようってなアホなことを言いましたが、あれも太平洋の半分を中国のものにしちゃうぞ~!ではありません。アメリカさん、半分から西側には攻めてこないで下さい。お願いです!という叫びです。どっちかというと。

中国外交にとって重要なのは唯一米中関係だけです。対日外交なんて対米外交を進める上での一つのパーツに過ぎません。今はなんとかしてアメリカに攻められる脅威を無くしたい。ただただその思いなわけですから、米国を本気で怒らせるようなことは絶対にしません。

もし米中が仲良くなったら?

ではもし、アメリカと中国が手を組んだらどうなるでしょう? 大丈夫だよ、もういじめたりしないから、怖がらなくて良いよ、これからは仲良くしようね、とアメリカが言う。そして中国が、ありがとう、仲良くしてね、アメリカ国債を市場で投げ売りしてドルを暴落させたりしいないから~、とか言って。本当に米中が仲良くなったら?

これって我が国にとっては悪夢です。アメリカという脅威がなくなった中国は、東アジアのジャイアンと化します。怖いものがいなくなったのですから、もうやりたい放題やりますよ。尖閣どころか沖縄どころか、日本全体を日出る処自治区かなんかにしちゃうでしょう。

それを考えると、尖閣とかでもめてる今の状態ってのは日本にとってはほぼ無傷に近い状態なわけでして、我が国は何が何でも米中がお友だちになるのだけは避けなくてはならない。F35の10機や100機くらい喜んで買ってやりましょうよと、そんなふうに思う今日このごろです。(ToT)